引用を知ろう
引用とは、著作者の権利を侵害することなく、他者が著作物の一部または全部を利用する為の方法の一つです。
例えば、レポートや論文の作成であれば先行研究の成果や調査データ、それらを示す文献などといったように、
どうしても著作物を利用しなけばならないケースがあります。
ただし、先に述べた通り著作物にはすべからく著作権というものがありますので、引用するにも然るべきルールや、
条件といったものを守る必要性があります。ここでは、その条件などについて説明します。
引用の要件(条件)
著作権法では、引用の要件について以下のように示しています。
<著作権法が示す、引用の要件>
- 既に公表されている著作物である
- 公正な慣行に合致する
- 報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内である
これだけだと、漠然としていて分かりづらいという方もいるかも知れませんので、過去の判例からも、
ほぼ現在の判断基準となっている要件を以下に例示してみます。
<過去の判例からみる、引用の要件>
- 利用する著作物において、利用される著作物が、明瞭に区別されている
- 利用する著作物において、利用される著作物との間に、主従関係がある
- 著作物を利用される側の著作者人格権が、侵害される様態ではない
要するに、既に公表されているものであり、正当な目的があり、引用している事を明確にし、
引用部はあくまでも全体を成すための一部に過ぎず、引用することで著作権者の権利を侵害しないこと、
と捉えて問題はないと思います。
補足するなら、業界や媒体により、引用の必要性や、引用が最小限度であることを要件とする場合もあります。
引用する際は出所の明示が義務
上で記した条件に基づけば、既に公表された他人の著作物は正当の範囲内において、自由に自己の著作物中に
節録引用することが容認されています。
なお、ここでいう引用とは、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究、紹介、参照、論評など、
引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものとされており、原則として、「他人の著作物の一部を採録すること」です。
ただし、ここまでに記した条件に基づく引用であっても、引用する際にはもう一つのルールがあります。
それが、「出所を明示する義務」となり、明示すべき出所とは、一般に、著作物の題号および著作者名等をさします。
つまり、全体の一部となる引用部分を明らかにするだけでなく、引用元の出典や著者名を明示する必要があるのですが、
今はブログサービスなども、多くの場合が引用の為の「blockquote要素」など専用機能を標準で備えていますので、
他人の著作物を引用する際には、それらの機能を使うなりして、必ず引用部分を明確に区別し、引用元の情報も表示します。
※「blockquote」を使うと、該当箇所が
「“」で囲まれるなど、視覚的に自身の文章との区別化が出来るようになっています。
また、最も引用する必要性や機会が多い論文などの場合は、その出所の明示の仕方にも色々と決まりがあったり、
学術の分野によって、書誌データの表記の順序などが変わる事がありますので、注意が必要です。
<論文などで引用する際の「出所の明示」の様々な表示例>
- 和書の「書籍」(単行本)の場合: 著者名, 『書名』, 出版社名, 発行年, ページ数
- 和書の論文・雑誌掲載の場合: 著者名, 「論文名」, 『掲載雑誌名』, 巻数と号数, 出版社名, 発行年, 掲載ページ数
- 洋書で「書籍」(単行本)の場合: 著者名, 書名, 発行所, 発行地, 発行年
- webサイトなどの場合: 著者名「ページ名(サイト名ではない)」, URL, (最終アクセス日)
引用の形式の数だけ表示の仕方がありますので、上の例示はあくまでも一部になります。
また、論文作成などが目的で当サイトに来られた方は、必ずご自身の分野の慣例に従いましょう。